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特性曲線について

印画紙の特性

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特性曲線

 特性曲線は、フィルム・印画紙に当たった光の量に対して、現像後どれくらいの濃度に再現されるかという関係を示したグラフです。

 このグラフでは、フィルム・印画紙に当たった光の量を、log H(露光量Hの対数)で、濃度をDで表します。露光量Hは、単位をlux.sで表し、光の照度(ルックス)と、露光時間(秒)をかけたもので、フィルム、印画紙上にどんな明るさの光がどれくらいの時間当たったのかを表しています。で、log H はその対数ということになります。この数値の計算は、ふつう照度計や露出計などで測定するものなので、特に覚える必要はないのですが、これだけを知っておくと便利です。

  • log Hが小さいと、光量は少なく(露出を絞る)、log Hが大きいと、光量は多い(露出を開ける)。
  • 露出の1絞り分の差は、log Hでは0.3に相当する。

濃度Dは、透過率(フィルムの場合)・反射率(印画紙の場合)の逆数の対数です。ふつうは濃度計で測定するものなので、濃度はDとだけ覚えていてください。このDの値が大きくなると、画面は黒くなり、小さくなると画面は白くなります。

 

特性曲線からなにが分かる?

特性曲線からは、1.感度、2.コントラスト、3.階調が読みとれます。


フィルムの場合

1.感度

 ISO,ASA,JISなどの規格化された感度は、感度測定用の決められた現像液と定着液で、特性曲線のΔDが、0.80プラスマイナス0.05となるような現像時間で現像し、ベース濃度+カブリ濃度+0.10の点Mの露光量、Log10Mから求めます。 ですから、一般の現像液を使用し、ΔDも異なる場合は、ISO感度は求められませんが、点Mの露光量からその処理での実効感度を露光指数(EI)として読みとることはできます。

  • 点M:最小濃度(ベース+カブリ濃度)+0.10の濃度を持つ特性曲線上の点
  • 点N:点MからlogHが1.30多い露光量を持つ特性曲線上の点

感度:0.8/HM

 

2.コントラスト

 特性曲線の傾きは、コントラスト(一定の露光域に対するフィルムに濃度差)を表します。傾きが急(線が立っている)と、コントラストが高く、傾きが緩やか(線が寝ている)とコントラストが低くなります。
 このコントラストを数値で表す目安としては、平均傾斜度(ガンマ・γ)・平均階調度(G)・コントラスト・インデックス(CI)がありますが、ここでは、実際の処理条件に近く、Kodakが採用しているCIを説明します。

  • A点はベース+カブリ濃度の水平線上の1点Oを中心に、半径Log0.2の円弧と特性曲線の交点。
  • B点はOを中心に半径Log2.2の円弧と特性曲線の交点。
  • O、A、Bが一直線上にあるときの傾きがCI。

CI=ΔD/ΔlogH

 

3.階調

 特性曲線は、その名の通り、直線だけでなく曲線の部分が必ずあります。 線が、横線から斜めに変わる部分がそれです。この部分を「立ち上がり」部と呼びます。また、線がある程度斜め上に上昇すると、また線が横に寝たようになることがあります。その部分を「肩」部と呼びますが、この、線が斜めから予期になる部分でも曲線が存在します。

  この曲線の部分では、階調の差が変わります。横方向から縦方向へ変わる曲線では、階調の差が大きくなり、縦方向から横方向へ変わる曲線では、階調の差が小さくなります。つまり、立ち上がり部では、ネガが黒くなるに従って階調の差が大きくなり、肩部では階調の差が縮まりますので、ネガの白と黒の部分(=シャドー部とハイライト部)ではグレー部分よりも階調の差が小さくなっています。

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印画紙の場合

 印画紙の感度や、コントラストを示す数字はないんじゃないか、と思われる方もいらっしゃるかも知れませんが、これらはきちんと印画紙の箱にかかれています。ISO SPEEDやISO RANGEがそれです。そしてこれらも特性曲線から求めることができます。

1.感度

 印画紙の感度は、フィルムのように濃度範囲が規定されているわけではありません。最小濃度(ベース+カブリ濃度)+0.6の濃度を持つ特性曲線上の点をmとしたときの、点mの露光量log HmがISOスピード基準点となります。
ISO Speed数値表はこちらをご覧ください。

 

2.対数露光域(LER)

 印画紙上に濃淡のグラデーションを再現できる範囲を示します。印画紙は、最高濃度が約2で一定になりますから、このLERが広いと、曲線の傾きが緩やかになるので、(横になる)コントラストは低くなります。逆にLERが狭いと、傾きがきつくなる(立つ)ので、コントラストは高くなります。

  • A点:最小濃度(ベース+カブリ濃度)+0.04の濃度を持つ特性曲線上の点。
  • B点:(最大濃度-最小濃度)×0.9の濃度を持つ特性曲線上の点。
  • 対数露光域(LER):A点とB点の、露光量の差

ISO Range数値表はこちらをご覧ください。

 

3.階調

 印画紙の場合、濃度の最高が2程度になるので、必ず立ち上がり部と肩部が存在します。フィルムと違う点は、最高濃度に達したら、濃度はそれ以上増えないことです。従って、露光は、立ち上がりから肩部の間に、必要な全ての階調をおさめる必要があります。

 国内で入手できるほとんどの印画紙は、立ち上がりが急激で、肩部でゆっくり大きな曲線を描いて最高濃度に達します。ハイライト部が硬くてシャドー部がやわらかく、階調を圧縮します。したがって、ネガの立ち上がり(シャドー部)が急激でハイライト部に肩部を持つフィルムを組み合わせると、シャドー部・ハイライト部ともに硬い部分とやわらかい部分の組み合わせになって、自然な階調が得られます。

 

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