手探りのキッス
東京都写真美術館で開催されている企画展「手探りのキッス」を観た。新進気鋭の若手写真家8人を取り上げてるんだけど、一番若くて70年生まれ。みんなオレより上。40代中頃の人も2人ほど…(^_^;)。
その中でオレもマユピも気に入った作家もその40代の人のだったんだけど(笑)。
そのうち一人は小林伸一郎氏。建物の廃墟を大判でしっかりと撮り続けている人で、ライティングもしっかりやっていて、何か生命観があるというか、建物が何かを語っているようだった。
もう一人は国境の風景を撮り続けている渡辺剛氏。明確に国境が存在する場所だけじゃなくてキャプションがあって初めて国境があると知るところ、同じ国内で壁で宗教を分けているところなんかがあって考えさせられた。特に目に見える国境がないスイス=フランス、ボスニア=ウクライナの長閑な田園風景の中に緊迫した情勢が隠されていることにものすごく恐怖を覚えた。日本は島国だから国境と言われてもあまりピントこないけど、そこにはただの「線」とは言えない、NYのテロのように国家間のいろいろな思惑が渦巻いているんだと作品から教わった。
ほかの作家はいまいちピンと来なかった。というのは写真に対する考え方の違いなのかもしれない。気に入った二人の作家は(学校などで)写真がバックグラウンドの人で、写真だけが持つ力を使って表現しているのに対し、ほかの6人は美大を出ていて、写真のお手軽さや記録性を利用しているにすぎなくて、表面的で(写真が本来持つ)メッセージが何もなかった。
その違いがあからさまに出ていたのでおもしろかった。
(2001.9.12)
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